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石垣島trip 2015

 寒くなり始めた葉山から逃げ出す様に、沖縄・石垣島へ。

早朝の羽田便に駆け込み、離陸前からぐっすりと眠りこむ。那覇で短いトランジットを経て,
あっという間に石垣島に到着。天気予報を覆し、到着した時には真夏の様な太陽と、28度の空気が広がっていた。
石垣島新空港が開設された今、石垣島はちょっとしたバブルを迎えている様に見える。
昔の小さな小さな素敵な空港では、タラップを降りてターミナルビルまで徒歩で進み、小さな
ターンテーブルに自分の荷物が乗せられてくるのを、じっとりとした空気に包まれて待っていたけれど、今はクーラーが効いた立派なビルの中に、何個もあるターンテーブルがぐるぐると回り、
ちょっとした居心地の悪さを感じる。懐古主義者ではないけれど、飛行機の扉から出た途端に圧倒的な暑さと、湿気と、少しのパイナップルや花の香りに包まれる昔の感じが懐かしい。

学生でスクーバダイビングにどっぷりと浸かり、その頃から始まった「島」通い。
沖縄だけでなく、小笠原や屋久島へも通ううち、「島」がもつ固有の文化、言葉、食べ物に興味を抱く様になった。
特に沖縄には本島、宮古島、そして八重山の島々と、それぞれに全く異なる文化が残されていて、それらは少しずつ消えて行きつつあると言われているが、島の人々と接していると彼らの生活の中に色濃く根付いている事を感じさせられる。

日々の食事の食材、言葉、祭り、民話、音楽、そしてやちむん。知れば知るほど興味深いものが
沢山。訪れる度に新しいことを知り、これまでの概念が覆されることがあり、「もっと知りたい」と探究心に火がつけられる。




今回の石垣島tripの目的は、ずばり「魚」。
ある時、ひょんな事から石垣島で釣り上げられたキハダマグロを丸で仕入れたことがあった。
その際、発泡スチロールに「このマグロは石垣島で〇月〇日に釣れた、活け〆・神経抜きのマグロです。」と書かれたチラシが大切に同梱されていた。大変失礼ながら、南国特有の大雑把な
イメージが強かった沖縄・石垣島の漁師さんが、そんなに丁寧に魚を扱っていることに驚かされ、そのチラシを大切に保管し、その出荷元である「石垣島水産」を調べてみた。SNSで繋がることができた石垣島水産の宮城社長を訪ねることが、今回の一番のミッションだった。

宮城社長は3年前までは異業種界で活躍をされていたが、「石垣島の魚をもっと広めたい!」という熱い信念のもと、今の会社を立ち上げられた、穏やかだけれどもとても情熱的な方。現状では那覇や築地、本土の市場手動で魚の「価値」が決められてしまい、その価値が付いた魚はほぼすべてが島外に出荷されてしまう。本来であれば、獲り手側からの適切な発信がもっと消費者に届いて良いはずだ。また、石垣島島内でもっと美味しくて新鮮な魚が食べられる様な環境を作り、それを観光で訪れた人にはもちろん、島内の人も口にするべきだ、と熱く語る宮城社長。
漁師さんがセリに回す前の魚を船から直接買い付け、大切に大切に扱い、石垣島の漁師の想いも氷と一緒に発泡スチロールに同梱し、消費者の元へと送り出す。石垣島島内のお店はもちろん、島外からもリクエストがあれば発送をしているとのこと。そんな宮城社長の熱い想いに共感した漁師さんが、今では数名が強力にバックアップをしている。



この日はそんな漁師さんの中のエース・70歳の海人がキハダマグロを釣り上げ、真っ青な空を背に小さな船で戻ってきた。石垣島の漁師さんは今でも小さな船で、たった一人で漁に出る。時として
2泊くらい船で過ごすこともあるそう。







石垣島の漁師さんは、奥さんが「さしみ屋」と呼ばれる鮮魚店や居酒屋、料理屋さんを経営している場合が多い。水揚げされた魚は、せりに回すもの、直接卸すもの、そして奥さんのお店で売るものに分けられる。

宮城さんに協力をされている漁師さんは、「とにかく自分が釣って丁寧に送り出した魚が、
どんな人が食べて、どんな感想を持ってくれたのか。それを聞くことができるのが何よりも嬉しい。
美味しくなかった、と言われれば、今度はこうしてみよう、ああしてみよう、と試行錯誤を繰り返す。」と話してくれた。どの船からも一律で買い取り、どのマグロも全て同じKg単価で売られ、どんな店でどんな風に提供されたのか分からない。そんなやり方では、もうモチベーションが上がらない。こだわりを持って漁に出る、こだわりを持って魚を取り扱う。だからこそ、自分の想いを一緒に流通させてくれるパートナーを求めているのだと感じた。

私達も、お店で食事を出す際、その食材のルーツ、生産者の想い、私達の想いをなるべく伝えたいと日々思う。そのストーリーを聞いて食べる食事は、何も知らずに食べる食事の数倍厚みがあり、美味しく、そして何よりも興味を抱くきっかけとなる。

これからも、そんな思い入れのある、ストーリーを語れる食材を探し、それを伝えていく役目を
少しでも担っていきたいと思う。